薩摩琵琶 武部丈水の活動を紹介しております。

仮説「なぜ、絃を擦り始めたのか?」

ピアノと並んで楽器の横綱格に居座るのが、ヴァイオリン。その魅力については改めて語る必要はないでしょう。
ヴァイオリンを含めて、ビオラ、チェロ、コントラバスは弓で絃を擦ります。元々はリュートだったわけで、琵琶の遠い親戚のようなものです。当然弾いて発音していたのですが、なぜ絃を擦り始めたのでしょう?
ここからは仮説です。弾く奏法では、弾いた瞬間から音は減衰し始めます。一定音量をキープすることは困難でして、さまざまな工夫を施しながらできる限りレガートに聴こえる奏法を工夫しているのです。
それならば最初から擦ってしまえば音は維持できるはず! 中世の人々は弓で擦ることでよりなめらかに旋律を表現する方法を獲得したのではないでしょうか? 弾く楽器の減衰、管楽器のブレスを補い、弓の返しによる変化はありますが、究極のレガート楽器を獲得したのです。きっと。
画像はヴァイオリンの元となった楽器の一つ、レベックです。

2023/7/24