合奏の中に初めから位置づいて、所定の役割を果たしている雅楽の琵琶奏者を除いて、多くの琵琶奏者はひとりぼっちで琵琶を奏でてきた。蝉丸・源博雅・耳なし芳一・・みんな一人で弾いている。20世紀に入り、鶴田錦史が武満徹のノヴェンバーステップスに独奏者として参加し、アンサンブルの可能性を示した。けれどあの曲は語りがないからできるので、琵琶の無拍で自由な語り口は、やはり一人でこそ真価を発揮する。